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914)ゴルフ場が太陽光発電畑に

 2012年5月26日の日本経済新聞が、日本毛織(通称ニッケ) は、所有するゴルフ場(兵庫県稲美町・明石市)15万uを閉鎖して、その跡地を太陽光発電所にすると報じる。

 ゴルフ場を太陽光発電畑にすると云うのは本当かいなと思い、ニッケのホームページを覗いて見た。

 同ホームページには、5月25日付で、そのことがプレスリリースされていた。

 日本経済新聞の記事と、ニッケのホームページのプレスリリースの記事より、ニッケ所有のゴルフ場跡地の太陽光発電所事業について、少し考えてみる。

 15万uのゴルフ場をパネル太陽光発電所に変える事業である。

 使用する太陽光発電パネルは、約40,000枚という。
 その発電出力は、9,800kwという。

 パネル1枚当りの発電出力は、

       9,800kw÷40,000枚=0.245kw

である。

 15万uの土地全てに太陽光パネルが布設されるわけでも無かろう。
 傾斜地や法地もあり、パネルの布設が出来ない個所もあるであろうが、それら土地部分も太陽光発電所敷地に含まれるとして考える。

              9,800kw
           ──────= 0.0653kw                                 
             150,000u

 敷地土地1u当りの発電量は、0.0653kwである。

 築造する太陽光発電所は、2,600世帯の電力需要をまかなえる電力量という。

               9,800kw
            ────── = 3.77kw                                 
               2,600世帯

 1世帯あたりの電力使用量は、3.77kwである。

 太陽光発電パネル1枚当りの発電出力は、0.245kwであるから、戸建住宅の屋根に太陽光発電パネルを取り付ける場合、

        3.77kw
             ─────   = 15.38枚≒15枚                         
        0.245kw

パネルは15枚と云うことになる。

 築造する太陽光発電所の年間発電量は、9537メガワット時という。

 メガワットという単位は、馴染みがないことから、kwの単位で換算する。

       9,537×1,000,000
           ────────── = 9,537,000kw時                   
                   1,000

 年間の発電量は、953.7万kw時である。

 稼働率を計算する。
 一日24時間太陽が出ていないが、一応計算は一日24時間として計算する。

      9,800kw×24時間×365日=85,848,000kw時

                  9,537,000kw時
               ─────── =0.111≒0.11                         
                 85,848,000kw時

 稼働率は11%である。

 11%ということは、

      24時間×0.11=2.64≒2.7時間

 一日2.7時間の稼働である。

 太陽光発電の稼働時間は、一日2.7時間と云うことである。

 夜もあり、雨の日もある。雪の日もある。曇りの日もある。
 これらをならして考えると、年間の稼働率は11%で、稼働時間は一日平均2.7時間ということである。

 年間発電量は、9,537,000kw時である。

 今年(2012年)7月より、政府は太陽光発電の電力を、1kw当り42円で購入すると発表した。

      42円×9,537,000kw時=400,554,000円≒4億円

 売上高は、4億円である。

 パネル1枚当りの売上高は、

       400,000,000円
            ───────   = 10,000円                           
                40,000枚

10,000円である。

 土地1u当りの売上高は、

       400,000,000円
            ───────   = 2,667円                            
                150,000u

2,667円である。

 投下資本は30億円である。

                  4億円
               ──── = 0.133                                    
                 30億円

 投下資本に対する粗利回り(グロス利回り)は13.3%である。

 経費がどれ程かかるのか、私には分からないことから、グロス利回りしか求められない。

 経費率が分かれば、ネット利回りは、

      0.133×(1−経費率) = ネット利回り

で求められる。

 なお、ニッケ所有の土地であることから、上記粗利回りは土地金額を含まない利回りである。
 土地金額を含むと、粗利回り(グロス利回り)はかなり低い数値になるものと予測される。

 太陽光発電パネル1枚当りの投資額は、

       3,000,000,000円
           ───────── = 75,000円                          
                40,000枚

75,000円である。

 土地1u当りの投資額は、

       3,000,000,000円
           ───────── = 20,000円                          
                150,000u

20,000円である。

 発電量1kw当りの投資額は、

      3,000,000,000円
         ───────── = 306,000円                           
        9,800kw

306,000円である。

 以上の分析をまとめると、下記の通りである。

   1.太陽光発電パネル1枚当りの発電出力  0.245kw
   2.土地1u当りの発電出力             0.0653kw
      3.一世帯の電気使用量                 3.77kw
   4.一世帯の太陽光発電パネル枚数       15枚
      5.年平均稼働率            11% 

6.年平均一日稼働時間 2.7時間 7.土地1u当りの売上高 2,667円 8.太陽光発電パネル1枚当りの売上高  10,000円 9.投資粗利回り(土地代含まず) 13.3% 10.土地1u当り投資額 20,000円
11.太陽光発電パネル1枚当りの投資額 75,000円 12.1kw当りの投資額 306,000円    13.1kw当りの電力買い上げ価格 42円

 上記データは、ゴルフ場を太陽光発電所に変更する際に参考になるであろう。

 私には、上記のほか、もう一つ大変興味があるものがある。
 土地の固定資産税はどういうことになるであろうかということである。
 地目ゴルフ場から、雑種地に変更になるのであろうか。
 そして税金は上がるのか、下がるのか。

 閉鎖ゴルフ場が、太陽光発電畑の用途になった後日のいつか、ニッケの資産管理担当者、或いは経理の人に聞いてみたい。


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