花は御室(おむろ)か嵐山 人三春(さんしゅん)の行楽(こうらく)に 現(うつつ)もあらで迷うとき 西洛陽(らくよう)の薄霞(うすがすみ) 霞にまがう砂煙 蹴立(けた)てて進む南下軍
1.ただに血を盛る瓶(かめ)ならば 五尺(ごせき)の男児要なきも 高打つ心臓(むね)の陣太鼓(じんだいこ) 霊(たま)の響(ひびき)を伝えつつ 不滅の真理戦闘に 進めと鳴るを如何にせん
2.嵐狂えば雪降れば いよいよ燃えたつ意気の火に 血は逆(さか)まきて溢(あふ)れきて 陣鼓(じんこ)響きて北海の 「健児脾肉(ひにく)を嘆(たん)ぜしが」 遂に南下の時到る
3.花は御室(おむろ)か嵐山 人三春(さんしゅん)の行楽(こうらく)に 現(うつつ)もあらで迷うとき 西洛陽(らくよう)の薄霞(うすがすみ) 霞にまがう砂煙 蹴立(けた)てて進む南下軍
4.平和はいずれ偸安(とうあん)の 秒時(しばし)の夢に憧(あこが)るる 「痴人始めてよく説かん」 丈夫武夫(ますら たけお)は今日の春 花よりもなお華やかに 輝く戦功(いさお)立てんかな