○鑑定コラム



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11)国立の高さ制限違反マンション

 大阪の方で高層マンションのビル風に対して、安穏な居住環境が脅かされるとして、被害者への損害賠償を認めた判決が最近あったが、東の東京では、高さ制限を著しくオーバーしたマンション建設に対して、是正行為を行わなかった東京都に対して、不作為行為に違法性有りとする判決が出された。(2001年12月4日)

 立川と国分寺の真中に有るから「国立(くにたち)」という安易な市名の都市で事件は起こった。

 国立市は郊外の田園調布といわれるごとく、街並みの美しい都市で、「学園都市」とも呼ばれている。
 一橋大学のある街である。
 また音楽関係の人には国立音大のある街といった方がわかりやすいかもしれない。

 その国立駅前大通りに、11階建(高さ44m)のマンションを建てることが事件の発端である。

 国立の景観には、その様な建物は似つかわしくないという反対が起こり、高さ制限20mの条例を市は作ってしまった。

 近隣住民は景観破壊からの建設反対の訴訟を起こす一方、条例を盾にとり、20mを超える部分は除去せよという命令を東京都は出せという訴訟を起こした。
 これに対してマンション業者は、条例が出来る前に建築確認をとり建設工事(根切り工事)に着工しているから合法であると主張し、工事を続行した。

 判決は根切り工事について「建築物の建物を前提とする工事ということは出来るが、将来建築物となる人工の建造物は全く存在しない段階であり、外部から客観的に認識出来るともいえない」と判断し、建設工事が着工していたという主張を退け、同建物を違法建築物と明確に断定した。

 東京都は建築確認申請書を受理した時点で、建物が出来上がる迄の期間は知り得、完成した時には高さ20m規制違反になることを充分認識出来たのにもかかわらず、それに何の是正の指導を行わなかったことに対して、裁判官は不作為行為の違法性を断じたと思う。

 「駆け込み着工の追認は、法の公正、公平な適用を害する」と判決はいう。

 東京都は恐らく控訴するであろう。
 今迄は住民とマンション業者の争いであったが、これに東京都が加わり、三つ巴の争いが展開されることになる。
 決着は最高裁までいくかもしれない。

 その後1ヶ月も経たないうちに、もう一つの景観紛争の判決が、地裁八王子支部で出された。その判決では住民側の景観阻害の主張を認めなかつた。

 つまるところ、景観阻害は認めないが、東京都の不作為行為の違法性も加わって、建物は違法建築物ということか。

 都はその後是正命令を出さず、業者からの工事完了届を受理し、検査済証を発行した。
 裁判所より違法建築物と判定されてしまったマンションを、業者は販売し始めた。どういう人が購入するか興味はある。
 そして違法建築の判決が出たマンションに、銀行は住宅ローン融資を行うかどうかも興味がある。いずれそれら内容は週刊誌が記事化するであろう。

 不動産鑑定では、法律違反となつた高さ20m以上の部分(7階〜11階部分)のマンションの価格あるいは当該マンション全体の価格をどう判断すべきかという設問になる。
 違法建築とはいえ賃貸収入は充分期待されることから、いまはやりのDCF法の収益価格で違法建築の要因は一切考えずに価格を求めるか。
 あるいは同規模の建物の再建築不可の要因を重視して価格を求めるか。
 はたまた、価格は市場が決めることと言って、一切の思考を停止するか。

 いずれ、転売する住戸が出てくる。
 どなたか違法建物の鑑定評価はどの様に評価すべきかについて論文を書く人はいませんか。『Evaluation』に載せます。


  鑑定コラム1237)「国立(くにたち)現象」

  鑑定コラム139)「2003年12月30日夜NHKニュースのヘッドライン」


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