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1100)銀座松坂屋は4年後新装再開店出来るのか

 銀座松坂屋は、2013年6月30日をもって閉店した。

 閉店の理由は、ビルの建替によるものという。

 銀座松坂屋の開店は、1924年(大正13年)である。岐阜県大井ダムの築造年と同じである。

          2013-1924=89

 89年の歴史を持つ百貨店であった。

 建物も1924年建築と聞くことから、鉄筋コンクリート建物の寿命も89年と言うことになる。

 現在の建物は、解体され、4年後には15階建程度の建物が建つと聞く。

 建てられる4年後の建物は、商業用建物を主とするが、そこに現在の銀座松坂屋の百貨店が入店するか否かについては、不明であるという。

 つまり、銀座松坂屋は、今回の閉店で無くなるかもしれないと言うことである。

 本当かいなと思い、売上高の面からその原因を探ってみる。

 銀座松坂屋の売上高は、日本経済新聞社発行の『日経MJトレンド情報2013』によると、

     2011年度     102.11億円

である。

 売場面積を示す店舗面積は、25,352uである。

 月額坪当り売上高を求めると、下記である。

          10,211,000,000円÷12=850,916,667円

       850,916,667円÷25,352u=33,564円
     33,564円×3.30578=110,955円≒11万円
 
 坪当り11万円である。

 銀座中央通りに面した店舗の売上高が、月坪当り11万円しかないとは、信じがたい少額の売上高である。

 5〜6倍以上の売上高があるのが普通ではなかろうか。

 百貨店の賃料は、売上高の10%程度であるから、

      11万円×0.1=1.1万円

坪当り1.1万円の賃料となる。

 銀座中央通りの店舗の賃料が、1階を含めて坪当り1.1万円の賃料と云うことはあり得ない。

 背後の銀座のはずれの中古の事務所ビルの賃料ならあり得るが。

 シービーアールイー(CBRE)の調査の銀座中央通りの坪当り賃料は、『店舗賃料相場2012』によれば、下記である。

       2階    4.5万円〜3.0万円 
              1階     22万円〜10万円
       地下1階     4.0万円〜2.8万円

である。

 一番高い賃料の場所は、銀座4丁目の交差点の店舗とすれば、銀座松坂屋は6丁目にあり、4丁目の交差点より遠のき、場所的立地は少し劣る。
 この場所的立地から、賃料は、4丁目交差点の賃料より下位にある。

 銀座松坂屋の場所での賃料を考える。

 地下1階付9階建の店舗ビルとして賃料を考える。

 2階の賃料を坪当り33,000円とする。
 2階の階層別効用を100とする。
 各階の賃料単価は、下記の算式で求める。

                             各階の効用
          2階の賃料単価 ×───────×賃貸面積                 
                             2階の効用

階 面積 効用   賃料 9階    1.0 90 29,700 8階    1.0 90 29,700 7階    1.0 92 30,400 6階    1.0 92 30,400 5階    1.0 95 31,400 4階    1.0 95 31,400 3階    1.0 95 31,400 2階    1.0 100 33,000 1階    0.7 500 115,500 地下1階    0.8 105 27,700 計 9.5 390,600

 坪当り賃料は、

              390,600円÷9.5≒41,000円

4.1万円である。

 銀座松坂屋の場所での賃料は、坪当り4.1万円と推定出来る。

 現実の売上高より推定出来る賃料は、1.1万円である。

 1.1万円の賃料は著しく安いということが分かろう。

 4.1万円の賃料が得られる所で、1.1万円の賃料しか得られないとすれば、その商売は競争の原則から云って退かなければならないであろう。

 一方、土地価格から分析すると、東京の百貨店の地価と売上高の間には、下記の関係があると、当鑑定コラム627で分析している。

 坪当り土地価格をX万円、月額坪当り売上高をY万円とすると、XYの間には

               Y=46.366+0.0030X

の関係が認められる。

 この関係式を使用する。

 銀座松坂屋の前の相続税路線価の価格は、平成24年度ではu当り1734万円である。

 地価公示価格を適正時価とすれば、相続税路線価は地価公示価格の0.8掛の価格である。

 この関係から、銀座松坂屋の坪当り土地価格は、

      1734万円÷0.8=2168万円

             2168万円×3.30578≒7,167万円

7,167万円である。

 求められた坪当り土地価格7,167万円を前記式のX値に代入すれば、Y値即ち月額坪当り売上高は、

           46.366+0.0030×7,167≒67.9

67.9万円と求められる。

 銀座の土地価格水準から検討すれば、銀座松坂屋の売上高は、月額坪当り67.9万円が妥当な水準と判断される。

 実際の売上高は、月額11万円である。約1/6である。

 4年後の建替建物の百貨店の売上高が、坪当り67万円前後が確実に見込まれると予想されるならば、銀座松坂屋の再開店はあり得るが、現行売上高の2,3倍程度しか見込まれ無いとすれば、銀座松坂屋の再開店は無いと私には思われる。

 4年後の結果を待ってみよう。


  鑑定コラム627)
「百貨店売上高と地価」

  鑑定コラム1094)「銀座松坂屋閉店セールの絵画」

  鑑定コラム273)「百貨店の家賃割合は10.6%か」

  鑑定コラム1096)「空席待ち約5時間、搭乗出来ず」

  鑑定コラム1193)「銀座松坂屋は銀座に戻ってこない」


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