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1236)不動産業 最適資本金は200億〜400億円

 中央官衙地区にある農林水産省の南側で営業していた政府刊行物センターは、中央官衙地区を離れ、中央官衙地区に隣接する虎ノ門の日本土地建物のビルの1階に移転していた。

 その政府刊行物センターに行ったのは、財務省の財務総合政策研究所が発行している『財政金融統計月報』2013年10月号を買うためである。

 同月報は、平成24年度の「法人企業統計年報特集」であり、財務省がアンケート調査した法人企業の財務調査の結果が記されている。

 財務省の法人企業統計調査は、統計法の法律に基づいて行われるものであり、日本の法人企業活動の実態を把握するために行われているものである。

 この「法人企業統計年報特集」のデータ数値を利用して、2、3記事を書く。

 一つは、不動産業の営業利益率について記す。

 財務省の法人企業統計調査結果は、業種ごとに、全体のほか資本金区分ごとに発表されている。
 全体と資本金区分は5つの区分である。

  「全体 1000万円未満、 5000万円未満、 1億円未満、 10億円未満、 10億円以上」

の区分である。

 営業利益率は、下記の算式から求める。
 金額は区分ごとの総額であり、単位は百万円である。

                 営業利益
              ───────   = 営業利益率                         
                 売上高

 不動産業の営業利益率を求める。下記である。

                     企業数        売上高       営業利益  営業利益率

 全体 304,000 32,681,659 3,250,929 0.099 1千万円未満 185,746 5,800,022 504,206 0.087 5千万円未満 107,805 8,646,000 727,741 0.084 1億円未満 7,423 2,956,087 290,443 0.098 10億円未満 2,674 5,985,973 567,762 0.095 10億円以上 352 9,293,537 1,160,777 0.125

 不動産業の平均営業利益率は、9.9%である。
 資本金10億円以上の営業利益率は12.5%である。

 三井不動産、三菱地所の平成26年3月期の営業利益率を、それぞれの決算書で見ると、下記である。単位百万円。

                      営業利益     172,567
   三井不動産   ────────────   = 0.114             
                      売上高     1,515,252


営業利益 161,271    三菱地所 ────────────  = 0.150 売上高 1,075,285

 三井不動産11.4%、三菱地所15.0%である。

 資本金は、

             三井不動産        174,296百万円(1742億円)
             三菱地所         141,373百万円(1413億円)

である。

 不動産業の営業利益率は、財務省の法人企業統計調査では、資本金が大きい程利益率が高くなっている。

 資本金10億円以上は、12.5%の営業利益率であるが、資本金1000億円を超える三井不動産、三菱地所の営業利益率は、11.4%〜15.0%である。

 不動産業の営業利益率を最高にする資本金はどれぐらいであろうか。
 つまり不動産業の最適資本金はいくらなのか。

 それを調べて見る。

 財務省の法人企業統計調査から、資本金5千万円より、資本金10億円の不動産会社の営業利益率が高いことから、資本金10億円以上の不動産会社の売上高と営業利益より、営業利益率を調べる。

 資本金10億円以上の上場不動産会社の決算書を調べて見た。
 平成26年3月期の決算書によるが、決算が6月とか9月の企業は未だ平成26年の決算書の発表が無いことから、前期の決算書による。

 営業利益率の分析結果は、下記である。

               資本金                    営業利益率

     1000億円以上        14.6% 400億円〜1000億円未満 9.6% 200億円〜400億円未満 24.5% 100億円〜200億円未満 10.7% 70億円〜100億円未満 11.9%
50億円〜70億円未満 10.7% 40億円〜50億円未満 10.3% 30億円〜40億円未満 7.9% 20億円〜30億円未満 14.6% 10億円〜20億円未満 13.7%

 資本金200億円〜400億円未満の営業利益率は24.5%である。

 不動産業の最適資本金は、200億円〜400億円と分析される。

 資本金1000億円以上の日本の不動産会社は、4社である。この4社は、「日本の不動産ビッグフォー」と云うべきか。

 下記に分析一覧を記す。単位は百万円。


社名 資本金 売上高 営業利益 営業利益率
三井不動産 174296 1515252 172567 0.114
三菱地所 141373 1075285 161271 0.150
住友不動産 122805 780273 160471 0.206
野村不動産HD 116024 532016 74307 0.140
1000億円以上   3902826 568616 0.146
         
東京建物 92451 220026 29361 0.133
レオパレス 75282 471089 13673 0.029
NTT都市開発 48760 189186 30458 0.161
イオンモール 42195 176931 42227 0.239
大京 41171 333813 18128 0.054
400億円〜1000億円未満   1391045 133847 0.096
         
ヒューリック 22205 108444 29114 0.268
平和不動産 21492 43284 8055 0.186
200億円〜400億円未満   151728 37169 0.245
         
日本空港ビル 17489 147116 6194 0.042
ゴールドクレスト 12499 30247 5692 0.188
ダイビル 12227 35566 10022 0.282
テーオーシー 11768 20726 5917 0.285
日神不動産 10111 60217 3588 0.060
100億円〜200億円未満   293872 31413 0.107
         
京阪神ビルディング 9827 14031 4463 0.318
サンフロンティア不動産 8387 17772 4531 0.255
原弘産 8334 1372 -449 -0.327
常和ホールディング 7838 21930 6905 0.315
パーク24 7675 155428 9509 0.061
70億円〜100億円未満   210533 24959 0.119
         
空港施設 6826 20971 3499 0.167
価値開発 6601 5551 -55 -0.010
ランド 6526 1804 -563 -0.312
トーセイ 6421 35070 3909 0.111
50億円〜70億円未満   63396 6790 0.107
         
フジ住宅 4872 86363 5806 0.067
タカラレーベン 4819 71963 9798 0.136
日本アセットマーケッティング 4097 3378 1105 0.327
40億円〜50億円未満   161704 16709 0.103
         
オープンハウス 3972 96999 10185 0.105
サンヨーハウジング名古屋 3732 37945 3448 0.091
明和地所 3537 34573 3154 0.091
アーバンライフ 3405 2209 454 0.206
エコナックホールディングス 3374 859 -19 -0.022
東京建物不動産販売 3108 27198 2389 0.088
東京楽天地 3046 9417 1436 0.152
三重交GHD 3000 117497 4751 0.040
30億円〜40億円未満   326697 25798 0.079
         
住友不動産販売 2970 64511 15536 0.241
エフ・ジェー・ネクスト 2774 40500 5938 0.147
グローベルス 2373 11699 419 0.036
インテリックス 2203 26381 1497 0.057
グランディハウス 2077 37259 2932 0.079
20億円〜30億円未満   180350 26322 0.146
         
日住サービス 1568 6443 521 0.081
プレサンスコーポレーション 1418 51755 10334 0.200
三栄建築設計 1340 51151 6027 0.118
イントランス 1133 2984 464 0.155
セントラル総合開発 1008 19090 714 0.037
10億円〜20億円未満   131423 18060 0.137


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