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1380)丸ビルの賃料の推測

 東京駅を丸の内側(皇居側)に出て、皇居を見ると、皇居に通じる広い大きな通りが目に入る。

 行幸通りである。

 東京駅前広場に面し、行幸通りを挟んで、2つの大きな高層ビルが建っている。

 左側のビルが丸ビル(丸の内ビルディング)であり、右側のビルが新丸ビル(新丸の内ビルディング)である。

 丸の内の大家である三菱地所の所有のビルである。

 事務所ビルとして、日本を代表するビルと云ってもよいであろう。

 貸ビルであるから、入居者はいる。

 その賃料が如何ほどかは、三菱地所は一切オープンにしない。

 入居募集していても、その募集賃料すら他に教えなく、秘密である。

 それ故、丸の内にあるビル賃料が、一体いくらしているのか、さっぱり分からない。

 三菱地所が、一切公表しなければ、余計知りたくなるのが人間の心理というものである。

 合理的に賃料を推測して見ようと云う気が起こり、分析してみた。

 ここ数週間で、千代田区の事務所賃料について、3つの鑑定コラムを書いてきた。

 コラムを読まれる人にとって、味気無い数字の羅列の記事を読んでも面白くなかったであろう。

 逆に、このコラム執筆者は、どうしてこんな味気無い記事を載せるのかと思われたと、私は思う。

 それは、丸ビルの賃料を合理的に推測する為であり、そのデータ分析の結果をまとめたものである。

 丸ビルの賃料は何円だといっても、それには合理的なデータ分析によって立証されたものでないと、信頼性も説得力も無い。

 三菱地所は、2015年3月期の決算を発表した。

 その決算書の説明資料として発表されているデータの中に、賃貸している丸の内地区の事務所賃料の賃料総額、有効賃貸面積、空室率の記載があった。

 この羅列している無味乾燥な数値から、三菱地所が貸している丸の内地区の事務所賃料の平均を導き出す。

 2015年3月末現在の丸の内の事務所の平均賃料は、

       u当り 10,956円

である。

 このことに関しては、鑑定コラム1364)「丸の内のビル賃料5.4%の上昇(27年3月)」で、記事にした。

 u当り10,956円の坪当り換算値は、

               10,956円×3.30578=36,218円

36,218円である。

 丸の内地区の賃料を一切オープンにしない三菱地所が、平均賃料とはいえ賃料をオープンにしたのである。

 そうさせたのは、三菱地所の株主である投資家の力と云うものであろう。

 株主の情報オープンという目に見えない圧力は、計り知れない力を持っているようだ。

 公開されたデータを利用しない手は無い。

 坪当り3.6万円の賃料は、丸の内地区の平均賃料である。

 この平均賃料を丸ビルの賃料であると云ったら、人に笑われる。

 丸の内の平均賃料より、丸ビルの賃料をどの様にして求めたらよいのか。
 
 その為に、鑑定コラム1370)、1378)、1379)の分析が必要であったのである。

 日本経済新聞が、「オフィス賃料」を発表している。

 最新の調査結果は、2015年5月6日に発表している。

 その中の「丸の内〜大手町」地区の既存ビルの賃料は、

           「20〜55」

と発表されている。

 単位は坪当り円であるから、坪当り2万円から5.5万円が、丸の内〜大手町の事務所賃料ということになる。

 これは、
               最高賃料   坪 55,000円
               最低賃料   坪 20,000円

と読み替えることが出来る。

 賃料倍率は、

                       55,000円
                    ──────  = 2.75                          
                       20,000円

2.75倍である。

 賃料倍率と変動係数の間には、

           Y = −0.047+0.1342X

        X : 賃料倍率 Y : 変動係数

の関係があることが、鑑定コラム1379)に記した。

 この算式から、丸の内の賃料の変動係数は、

            −0.047+0.1342×2.75 = 0.322

と求められる。

 まとめると、

              変動係数    0.322
              平均賃料    36,218円

である。

 変動係数、平均値、標準偏差の間には、

                    標準偏差
                ───────   = 変動係数                       
                    平均値

の関係がある。

 上記式から、標準偏差は、

          標準偏差 =  平均値×変動係数

である。

 この算式から、丸の内の賃料の標準偏差は、

               36,218×0.322 = 11,662

と求められる。

 丸の内の賃料の標準偏差が、11,662と分かった。

 丸ビルは、丸の内の中にあって、一等地にある一等のビルである。

 この要因を、100棟のビルの中で、最高クラスのビルの2.5棟に入ると考える。

                    2.5
                ────  = 0.025                                 
                   100

 出現率2.5%である。

 出現率2.5%は、正規分布のグラフで考えると、右側の端の標準偏差の1.96倍の領域のビルということになる。

          36,218+11,662×1.96 = 59,076 ≒ 59,000

 丸ビルの賃料は、

                坪当り 59,000円

と推測される。

 但し、これは私の勝手な分析によるものであり、実際の丸ビルの賃料が坪5.9万円であると云うものではないということを、お断りしておく。実際の賃料は、これよりも高いかもしれないし、或いは安いかもしれない。

 以上によって丸ビルの賃料が、坪当り59,000円と推測された。

 しかし、丸ビルの賃料の推測が、私の最終目的ではない。

 私の最終目的は、丸ビルの還元利回りがどれ程であるかを知ることである。

 それについては、日を改めて記事にしたい。


  鑑定コラム1370)
「千代田区貸事務所賃料の変動係数は0.214」

  鑑定コラム1378)「千代田区各町事務所賃料変動係数」

  鑑定コラム1379)「賃料倍率(最高÷最低)と変動係数」

  鑑定コラム1364)「丸の内のビル賃料5.4%の上昇(27年3月)」

  鑑定コラム1386)「丸ビルの敷金の推測」

  鑑定コラム1387)「丸ビルの必要諸経費の推測」

  鑑定コラム1388)「丸ビルの建物価格」

  鑑定コラム1389)「丸ビルの土地価格」

  鑑定コラム1390)「丸ビルの還元利回り」

  鑑定コラム1391)「丸ビルの減価償却後還元利回り」

  鑑定コラム1392)「丸ビルの賃料、還元利回りの分析を終えて」

  鑑定コラム1643)「丸ビルの賃料坪当り62,242円(29年3月)」

  鑑定コラム1644)「丸ビルの償却後還元利回りが2%割れしそうだ」


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