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2102)23区トップ商業地価と総合還元利回り

1.はじめに

 先の鑑定コラム2100)で、23区公示商業最高地価と1階賃料の関係を分析した。

 23区トップ商業地価とその土地上の建物の1階賃料との間には強い相関関係があることが認められた。

 鑑定コラム2098)で、東京中央区商業地価と、その土地上の建物とが一体した複合不動産が産み出す純収益によって求められる総合還元利回りとの間にも強い相関関係があることが分かった。

 23区トップ商業地の地価とその土地上の複合不動産の総合還元利回りとの間はどうであろうかと思われ、分析してみる。

 使用したデータは、2020年地価公示価格の23区トップ商業地価と、その地価公示価格に付随して公開されている不動産鑑定書に記載されている収益還元法の建物価格、純収益による。

2.求め方

 求め方は、鑑定コラム2098)の分析手法と同じであるが、港区を例にして再記説明する。

@ 総合還元利回りとは

 総合還元利回りとは、貸ビルのごとく土地と建物が複合して使用されている複合不動産の還元利回りを云う。

 総合還元利回りは、次の算式で求められる。

          純収益
            ──────────── = 総合還元利回り              
                土地価格+建物価格

A 所在等

    公示番号    港5-1
  所在    新橋1-18-16(住居表示) 
  価格      u当り 13,200,000円
  地積    1176u
 
A 土地総額
           13,200,000円×1176u=15,523,200,000円

B 建物価格

 地価公示価格は更地の価格である。

 対象地に既存建物があっても、更地と考え、そこに最有効使用の賃貸建物を想定する。新築建物を考える。

 地価公示価格の不動産鑑定書が公開されるようになった。

 その鑑定書には収益還元法の明細が記載されている。想定した最有効使用の賃貸建物の新築価格が明示されている。

 港5-1の想定建物価格は、4,060,000,000円である。

C 土地建物価格

 想定された最有効使用の賃貸ビルの建物及びその敷地の価格は、
 
              15,523,200,000円+4,060,000,000円=19,583,200,000円
である。

D 純収益

 想定された貸ビルの賃料等による総収入、公租公課等の総支出の数値及び純収益が記載されている。

 総支出は必要諸経費であるが、地価公示価格の収益還元法の必要諸経費には減価償却費は計上されていない。

 それ故、求められている純収益は、償却前純収益である。求められる総合還元利回りは、償却前総合還元利回りである。

 港5-1の純収益は、664,412,000円である。

E 総合還元利回り

 上記数値を算式に代入すれば、
                664,412,000円
              ─────────  = 0.03392≒0.034                 
               19,583,200,000円
0.034と求められる。

 港5-1の総合還元利回りは、3.4%と求められる。この利回りは償却前利回りである。

3.データ及び分析一覧

 上記と同じ求め方で、他の22区のトップ商業地の還元利回りを求めると、下記一覧である。


番号 区名 公示番号 所在(住居表示) 公示価格千円/u 土地面積u 土地総額千円 建物価格千円 土地建物千円 純収益千円 還元利回り
1 千代田区 千代田5-2 丸の内2-4-1 37600 10027 377015200 68700000 445715200 12232207 0.027
2 中央区 中央5-22 銀座4-5-5 57700 454 26195800 1990000 28185800 769049 0.027
3 港区 港5-1 新橋1-18-16 13200 1176 15523200 4060000 19583200 664412 0.034
4 新宿区 新宿5-35 新宿3-24-1 37900 1245 47185500 4900000 52085500 1480240 0.028
5 文京区 文京5-1 湯島3-39-10 4130 156 644280 428000 1072280 50802 0.047
6 台東区 台東5-1 上野4-5-5 11000 159 1749000 470000 2219000 90711 0.041
7 墨田区 墨田5-1 江東橋3-8-10 2150 94 202100 175000 377100 19544 0.052
8 江東区 江東5-5 亀戸5-2-1 2000 91 182000 182000 364000 18771 0.052
9 品川区 品川5-1 西五反田1-2-10 5610 413 2316930 1260000 3576930 142408 0.04
10 目黒区 目黒5-12 自由が丘1-29-9 5300 511 2708300 1140000 3848300 169822 0.044
11 大田区 大田5-1 西蒲田7−66-10 4200 260 1092000 655000 1747000 85333 0.049
12 世田谷区 世田谷5-4 北沢2-19-12 2860 89 254540 119000 373540 17275 0.046
13 渋谷区 渋谷5-22 宇田川町23-3 28700 819 23505300 2800000 26305300 807774 0.031
14 中野区 中野5-1 中野3-36-15 4260 192 817920 463000 1280920 61848 0.048
15 杉並区 杉並5-1 上荻1-8-9 3000 95 285000 204000 489000 28621 0.059
16 豊島区 豊島5-1 東池袋1-1-3 14500 136 1972000 380000 2352000 92775 0.039
17 北区 北5-1 赤羽1-8-3 3490 150 523500 339000 862500 44279 0.051
18 荒川区 荒川5-1 東日暮里5-51-14 2000 117 234000 294000 528000 28743 0.054
19 板橋区 板橋5-1 大山町31-1 1360 99 134640 131000 265640 14378 0.054
20 練馬区 練馬5-1 豊玉北6-1-8 1450 176 255200 370000 625200 34340 0.055
21 足立区 足立5-1 千住2-57-3 3180 494 1570920 1000000 2570920 122488 0.048
22 葛飾区 葛飾5-1 新小岩1-48-3 1550 123 190650 83600 274250 13225 0.048
23 江戸川区 江戸川5-3 西葛西6-15-2 1720 118 202960 184000 386960 19699 0.051


4.グラフ図示と回帰式

 上記データを、総合還元利回りを縦軸に、土地価格を横軸に取って、プロットしたのが下記グラフである。



23区トップ商業地還元利回り


  
     Y:総合還元利回り
     X:地価公示価格 千円/u

として、両者の関係式をエクセルの近似式計算に当てはめると、

               Y=0.2371Xの(-0.1979)乗
                決定係数0.9035
     (注)累乗算式の表示が上手に出来ない。グラフ内に表示してある算式である。

と求められた。

 (1÷土地価格の0.1979乗)の値に、0.2371を乗じると、その土地の総合還元利回りが求められると云うことである。

 より簡単に云うと、土地価格の0.1979乗の逆数に0.2371を乗じると、総合還元利回りが求まるということになる。

 上記算式の決定係数が0.90であるから、求められた関係式の相関度は甚だ高い。

5.まとめ

@ 立証

 上記分析から、23区トップ商業地の総合還元利回りは、土地価格の高い場所の総合還元利回りの割合は低く、土地価格の安い場所の総合還元利回りは高い割合であることが分かった。

 鑑定コラム2098)で分析した中央区の商業地の総合還元利回りの性質が、23区トップ商業地にも認められる。

 土地価格と総合還元利回りの間には、定数・指数の数値は異なるが、累乗方程式の関係があると分かった。

A 商業地価と標準総合還元利回り

 求められた算式から具体的に総合還元利回りを求めると下記である。

 例えば、土地価格がu当たり2,000千円であるとする。

                             1                        1
     Y=0.2371 ×──────── =  0.2371 ×──────    
                        2,000の0.1979乗              4.500635

=0.2371×0.222191 =0.05268 ≒0.053

 u当たり2,000千円の商業地の土地の総合還元利回りは、5.3%と求められる。

 上記のごとく求められた総合還元利回りと商業地地価一覧を下記に記す。

 23区商業地の総合還元利回りの目安になるであろう。但し償却前の総合還元利回りである。中央区の総合還元利回りより0.2%程度高い。

      商業地価 千円/u               総合還元利回り %

       2,000 5.3        3,000 4.9        4,000 4.6        5,000 4.4        6,000 4.2        7,000 4.1 8,000 4.0        9,000 3.9        10,000 3.8        12,000 3.7        13,000 3.6        15,000 3.5        17,000 3.4        20,000 3.3        23,000 3.2        27,000 3.1        32,000 3.0        38,000 2.9        45,000 2.8        54,000 2.7        65,000 2.6


  鑑定コラム2065)「2020年銀座山野楽器店公示地の土地還元利回りは2.5%(償却後)」

  鑑定コラム2096)「東京中央区の公示商業地地価と1階賃料(2020年1月) 」

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