○鑑定コラム
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ
1.はじめに
2025年2月27日に行われた第217回国会の衆議院予算委員会第八分科会での尾辻かな子議員(立憲民社党)が行った質疑応答の議事録が公開された。
議事録のアドレスは、下記である。
https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=121705273X00120250227¤t=6
2.会議録に登場する人々
議事録に登場する人々は、下記である。
河西宏一 委員長・議長
尾辻かな子 発言者・質問者
平岡成哲 国土交通省航空局長
田村明比古 成田国際空港株式会社代表取締役社長
平田研 国土交通省不動産・建設経済局長
中野洋昌 国土交通大臣
中川浩 会計検査院事務総局第三局長
尾原知明 消費者庁審議官
3.尾辻かな子議員の主な質問と政府関係者の答弁
@ 土地賃貸借契約の目的等(田村答弁)
2020年9月10日より2025年3月31日迄、造成工事を目的として土地賃貸借契約を締結した。
賃借人が事業がもう少し懸かるということで、2025年3月31日迄延長した。
土地面積は約19万uメートルである。
地代は年額約1800万円である。
A 造成事業と不動産特定事業法
造成事業が不動産特定事業法に基づいて資金を集める事業である事は知らなかった。(田村答弁)
B 土地賃貸借契約の決定
千葉県及び成田市が、各種法令に基づいて審査し、必要な法令許可をしている事を確認の上、土地を貸し付けた。(田村答弁)
C 不動産特定事業法に基づいて子会社2社が処分された事について
昨年、東京都からみんなで大家さん販売株式会社、大阪府から都市綜研インベストフアンド株式会社に処分がなされたが、処分は土地賃借人では無く、賃借人のグループ会社になされたものであったものであり、賃借人の法令取消事由にはならない。(田村答弁)
子会社の行政法令違反であるから親会社は関係無いという論理は間違っている。
D 不特法(不動産特定共同事業法)に踏み込んで欲しかった
不特法は、同法2条3項1号で次のごとく規定している。
「一(号 筆者記入) 各当事者が、出資を行い、その出資による共同の事業として、そのうちの一人又は数人の者にその業務の執行を委任して不動産取引を営み、当該不動産取引から生ずる収益の分配を行うことを約する契約」
出資事業は不動産取引業であり、出資者は、出資事業の不動産取引から生じる収益の分配を配当として受け取るというものである。
賃貸ビルを共同出資して購入或いは建築した不動産の売却利益もしくはその賃貸ビルから得られる家賃を配当原資として出資額に応じて配当を受け取るという事業出資である。
土地賃貸事業の場合は、配当は地代相当ということになる。
不特法による出資金の配当は、当該出資事業の不動産取引から生じる収益の分配金である。
成田プロジェクトの土地の場合、建物はまだ建っていませんので、賃料収入は無い。
とすると、7%の配当はどこから出て来るのか。
出資者の出資金を配当に回していると考えられる事になる。
それは、上記不特法2条3項1号に違反する行為となる。
ここを国会議員に追求してもらいたかった。
E 大和都市管財事件への言及
最後に大和都市管財事件に言及した事は、大変良かった。国に釘を刺しました。
4.疑問点
@ 造成後の地代 年額地代が月額地代になる不思議さ
土地の賃貸料について、田村成田国際空港株式会社代表取締役社長(以下「田村社長」とする。)は、現行年間約1800万円と答弁している。
共生バンクが、行政裁判事件で裁判所に提出した不動産鑑定書では、賃借面積183,353.31uの土地を「価格時点現在、造成工事を目的とする土地賃貸借契約が締結されており、工事完了後賃料は現行の3倍、定期借地契約にて50年間の賃貸が予定されている。」と記す。
そして、「予定」の土地賃借契約と条件をつけて、定期借地権で、賃借期間2026年4月1日より2075年3月31日迄50年間で地代は、月額54,168,180円(295円/u)と記す。
借地権の計算では、実際支払賃料は、年間650,018,160円として、借地権価格を計算している。
田村社長の年間1800万円の地代は、造成工事中の地代である。
共生バンク側鑑定の「工事完了後賃料は現行の3倍」という記述が正しいと云うことであれば、造成後の定期借地権の年間地代は、
1800万円×3=5400万円
ということになる。
それにも係わらず、共生バンク側鑑定は、月額地代54,168,100円、年間650,018,160円と記述する。
年額地代を月額地代であると錯覚して計算している。この間違いは非常に大きな問題である。その間違えた地代で借地権価格を求めている。
こうして求められている共生バンク側鑑定は、評価額を大きく間違えていることになり、共生バンク側不動産鑑定評価の信頼性は甚だしく減退する。
その様な不動産鑑定評価を前提にして、東京都、大阪府は裁判を行ったのか。
行政裁判において、裁判当事者の東京都、大阪府は、この事に気づかなかったのか。国交省も気づかなかったのか。
A 共生バンク側不動産鑑定の新規地代
共生バンク側不動産鑑定の新規地代(正常実質賃料)の年額は、下記である。
純賃料 7,657,030,000円
公租公課 1,796,911,433円
計 9,453,941,433円
月額では、
9,453,941,433円÷12=787,828,453円
である。
u当り月額新規地代は、
787,828,453円÷183,358.31u=4,296.66円≒4,297円
である。
B 令和6年地価公示価格成田5-4の鑑定書の収益還元法のビル賃料
地価公示価格の鑑定書が公開される様になった。
令和6年地価公示価格成田5-4(千葉県成田市花崎町828番50)は、JR成田駅前広場に面する位置にあり、その公示地(1,000u)に、A鑑定では、SRC造6階建て(地下1階付)の店舗事務所ビルが想定されている。
地価公示価格は2人の不動産鑑定士によって評価されており、公開鑑定書の先にあるのをA鑑定、後にあるのをB鑑定と呼ぶ。
本件においては、A鑑定を採用する。
令和6年地価公示価格成田5-4の地価公示価格鑑定書のアドレスは、下記である。
https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices_/realEstateAppraisalReport/2024/12/2024122110504.html
令和6年地価公示価格成田5-4の地価公示価格A鑑定の収益還元法想定の店舗ビル賃料は、下記である。
階 用途 賃貸面積u u賃料単価 月額総額
1 店舗 517.87 5,200円 2,692,924円
2 店舗 587.37 4,200円 2,466,954円
3〜6 事務所 各587.37 3,100円 1,820,847円
計 3,454.72 12,443,266円
u当り家賃は、
12,443,266円÷ 3,454.72u=3,602円
である。
共生バンク側鑑定の対象地の新規地代は、前記より月額u当り4,297円である。
共生バンク側鑑定の対象地新規地代の方が、成田駅前広場に面する店舗事務所ビルの家賃よりも高いという、非現実性、非市場性も甚だしい賃料現象を生じている。
C 令和6年地価公示価格成田5-4の土地の公租公課
令和6年地価公示価格成田5-4のA鑑定の土地の公租公課は、1,045,000円である。公示地面積は1,000uである。
地価公示成田5-4の土地上に立つ店舗事務所ビルの年間支払賃料に占める土地公租公課の割合は、
1,045,000円÷12,443,266円=0.084
8.4%である。商業地のビル賃料に占める土地公租公課の割合水準としては、妥当の水準にある。
つまり、地価公示成田5-4の土地の公租公課は妥当な水準にあるということである。
地価公示成田5-4の土地u当り土地公租公課は、年額で
1,045,000円÷1,000u=1,045円
である。
共生バンク側鑑定の対象地の公租公課は、年間総額1,796,911,433円である。
土地u当り公租公課は、年額で、
1,796,911,433円÷183,358.31u=9,799.99円≒9,800円
である。
両土地のu当り公租公課を比較すると、
令和6年地価公示価格成田5-4のA鑑定の土地の公租公課 1,045円
共生バンク側鑑定の対象地の公租公課 9,800円
である。
共生バンク側鑑定の対象地の公租公課は、令和6年地価公示価格成田5-4のA鑑定の土地の公租公課に対して、
9,800円÷1,045円=9.37倍
9.37倍も高い。非現実性、非市場性も甚だしい。
D 対象地の造成後の定期借地権の地代
共生バンク側鑑定の対象地の造成後の地代(定期借地権)は、前記した年額650,018,160円である。
月額では、
650,018,160円÷12=54,168,180円
である。
u当り月額地代は、
54,168,180円÷183,378.31u=295円
である。
土地公租公課は、新規地代と継続地代、定期借地件地代と普通借地権地代等と種類・類型が異なっていても、金額が異なる事は無く、同額である。
対象地の土地公租公課は、前記より、年額u当り9,800円である。
月額では、
9,800円÷12=816.6円≒817円
である。
対象地の月額u当り地代と公租公課は、
地代 295円
公租公課 817円
である。
公租公課は地代を形成するものであり、地代の中に含まれるものである。
公租公課が地代より高い地代など有り得ない。
共生バンク側鑑定の地代は、論理性の全く無い適正地代とは程遠い不当性も甚だしい地代である。
行政裁判において、裁判当事者の東京都、大阪府は、この事に全く気づかずに、不当性の指摘・主張もせずに裁判を行ったのか。国交省も全く気づかなかったのか。
5.国会議事録
以下に2025年2月27日の予算委員会第八分科会の議事録を転載する。
018 河西宏一
発言URLを表示
○河西主査 これにて栗原渉君の質疑は終了いたしました。
次に、尾辻かな子さん。
019 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 立憲民主党の尾辻かな子です。
三年五か月ぶりの国会での質問となります。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、分科会ということで、質問に入っていきたいと思います。
今日は、成田国際空港株式会社所有土地の賃貸借契約のことについて、順次お聞きしてまいりたいと思います。
まず、成田国際空港株式会社、こちらの株主は誰になるのかということで、お願いをいたします。
020 平岡成哲
発言URLを表示
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田国際空港株式会社の株主は国でありまして、国土交通大臣の管理する特別会計の空港整備勘定において全体のおよそ九二%を保有しております。残りを一般会計において保有している、こういう状況でございます。
021 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 一〇〇%国が持っているということでよろしいですか。うなずいていただきました。
国の特殊会社ということですけれども、この成田国際空港株式会社については、国交大臣が監督、報告、検査をさせることができるということでよろしいでしょうか。
022 平岡成哲
発言URLを表示
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田国際空港株式会社法第十五条に基づきまして、会社は、国土交通大臣がこの法律の定めるところに従い監督することとされております。
また、同法第十六条に基づき、国土交通大臣は、必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告させ、又は職員に、会社に立ち入り、検査させることができることとされています。
023 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 それでは、成田国際空港株式会社の代表取締役についてお聞きをしたいと思います。
経歴を見ると、国交省のOBの方がされているということですけれども、それでよろしいでしょうか。
024 平岡成哲
発言URLを表示
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
成田空港会社の代表取締役社長は、これまで様々な経歴の方々が務めてこられましたが、現在の代表取締役社長、田村社長は、元国土交通省職員です。
025 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 田村代表取締役社長、経歴を見ると、二〇一八年十二月に国交省を退職されているということで、一つ会社を挟んで、二〇一九年六月から成田国際空港の代表取締役社長をされているということです。
そして、今日は、田村明比古成田国際空港株式会社代表取締役社長に出席をいただきました。御出席ありがとうございます。
順次お聞きしてまいりたいと思います。
新聞や雑誌記事にもなり、今日も配付資料でお配りをさせていただいておりますけれども、成田国際空港株式会社が所有する小菅地区の賃貸借契約についてお聞きをしたいと思います。
こちらで行われる事業については、朝日新聞の報道では、一千五百八十億円集めた開発に四年八か月の遅れが出ているというふうに報道されています。
まずは、賃貸面積や賃借先、期間、賃料などについてお伺いをいたします。
026 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 お答えいたします。
当社が所有いたします成田市小菅地区の約十九万平米の土地につきまして、共生バンク株式会社との間で、二〇二〇年九月十日より二〇二五年三月三十一日までの期間、造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結いたしております。なお、土地賃貸料につきましては、年額約一千八百万円といたしております。
027 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 この賃貸借契約ですけれども、日経不動産マーケット情報の記事によると、今約五年弱ですかね、こういうことですが、三年間で、一度契約の延長をしているというふうに報道されております。これは事実でしょうか。
028 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 当初は、二〇二〇年九月十日より二〇二三年九月九日までの期間といたしておりましたけれども、二〇二三年九月に、その終期を二〇二五年三月三十一日までとする土地賃貸借変更契約を締結いたしております。
029 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 この延長の理由を教えてください。
030 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 賃借人が事業がもう少しかかるというので延長を希望いたしまして、賃借人が得ている開発許可等、法令許可が継続していること等を確認した上で、期間を変更いたしたものでございます。
031 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 朝日新聞の報道によりますと、昨年の一月の段階で工事の進捗状況については二%であったというふうに報道されております。
この工事の進捗状況について把握されていますでしょうか。
032 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 現状につきましては、今質問を投げかけて回答を待っているところでございます。
033 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 ということは、遅れの理由については把握されていますか。
034 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 それも含めまして質問をいたしているところでございます。
035 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 それでは、ちょっと違う観点から質問していきたいと思います。
先ほど御指摘のあった賃借人のグループ会社ですけれども、成田国際空港株式会社との契約以前に不動産特定共同事業法に基づく行政処分を受けているというふうに思いますけれども、この事実関係を確認いたします。
036 平田研
発言URLを表示
○平田政府参考人 お答えいたします。
当該賃借人と現在資本関係のある不動産特定共同事業者二社においては、監督行政庁である東京都及び大阪府より、平成二十二年などに不動産特定共同事業法に基づく行政処分を受けたことがあるものと承知しております。
037 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 これは報道もされて、私も新聞記事を持っております。どこの会社になりますでしょうか。
038 平田研
発言URLを表示
○平田政府参考人 お答えいたします。
賃借人と現在資本関係のある会社として、都市綜研インベストバンク株式会社及び都市綜研インベストファンド株式会社でございます。
039 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 都市綜研インベストバンクが共生バンクの一〇〇%の子会社、都市綜研インベストファンドがインベストバンクの一〇〇%の子会社だと、私も公表されている資料から確認をしております。
では、この契約について、どのような経緯で賃貸借契約をすることになったのか、お聞きをしたいと思います。
040 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 本件につきましては、当社に対します賃借人からの申出を受けまして、当該計画を他の土地所有者や周辺地区が受け入れたということ、それから、成田市としても活用されない騒音区域が有効利用されれば大きなメリットがあるとの考え方に基づき、同市が地区計画を決定したこと、さらに、賃借人が成田市より都市計画法、それから千葉県より農地法及び森林法に基づく許可を得たこと等を確認の上、必要な社内手続を経て、適正な対価で造成工事を目的とした土地賃貸借契約を締結したものでございます。
041 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員
この事業が不動産特定共同事業法に基づいて資金を集めるという事業だというのは、成田空港株式会社としては知っていたのでしょうか。
042 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 承知しておりませんでした。
043 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 今ちょっと重要な話ですけれども、ということは、資金計画を知らずに成田国際空港株式会社としてはこの造成計画について決定したということでしょうか。
044 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 土地の貸付けにつきましては、千葉県及び成田市において、資力の信用や技術要件等各種法令に基づく審査の上、事業に必要な法令許可を賃借人に与えておりまして、その上で、当社としても、賃借人の事業に係る法令許可申請に使われました事業計画や資金計画等を確認の上、貸し付けたものでございます。
045 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 お話を聞いていると、開発許可、都市計画で、成田市とか千葉県が、これは農転だと思うんですけれども、やったら、成田国際空港株式会社として、例えば、この事業がちゃんと成り立つのか、そして、計画の妥当性とか、資金をどういうふうにやるのか、こういったことは確認をされないんでしょうか。
046 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 先ほども申し上げましたように、この賃借人の申出に対しまして、その地区が受入れをしたということ、それから、成田市においてもそういうメリットがあるということで地区計画を決定したということ、さらに、賃借人が都市計画法でございますとか農地法でございますとか森林法でございますとかそういった法律に基づく許可を得たということを確認した上で、そこでも資金計画なども確認をされているわけでありますけれども、そこに使われました資金計画なども私どもも確認をした上で、その契約を締結したものでございます。
047 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 確認です。成田国際空港株式会社の取締役会でこれは決定されたということでよろしいですか。
048 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 当社の経営会議で決定をいたしております。
049 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 いろいろやったということなんですが、私、さっき驚いたのは、不動産特定共同事業法に基づいて資金を集める事業だというのは知っていなかった、知らずに許可をしたということはちょっと驚きでした。
実は、この事業について、東京都、大阪府ともに、不動産特定共同事業法の行政処分をめぐっての裁判において、不動産評価額が同じ地域の他の土地に比べて百倍であると、事業の健全性について指摘がされております。
先ほどの経営の決定のときに、こういった事業の健全性というのは考慮されているんでしょうか。
050 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 賃料の決定というところでございますけれども、という御質問ではないですか。(尾辻分科員「まあ、ちょっと」と呼ぶ)済みません。
私どもが賃貸借契約を結ぶに当たりまして賃料を決定をいたしますけれども、それにつきましては、当該土地というのは傾斜林地でありますけれども、そこについて造成事業を目的とした賃貸借契約ということで、本来、何か建築物がその上に乗った場合の、そういう事業を目的とした賃貸借契約で通常想定される賃料、これに対して、当該造成事業の最中は利益を生んでいないということがあって、不動産鑑定士と相談をいたしまして、それにふさわしい適正な価格ということで決定をしているということでございます。
051 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 済みません、ちょっと質問と答弁がすれ違っておりまして。
今、不動産特定共同事業法において、東京都と大阪府は行政処分をめぐって裁判をしております。その裁判の資料を見てみますと、いわゆる賃借人がどう言っているかというと、この不動産評価額、この事業について、建築をしたときだということだと思いますが、周りの今の評価額の百倍の値段になるんだよという評価をされているんですね。建築工事をしたときにということです。
今、造成工事の契約をされていると思うんですけれども、造成したら建築ということに通常進むわけですけれども、こういった全体の事業としての健全性の考慮はされていたのかという質問であります。
052 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 まず、土地造成に関わる資金の健全性ということについて、市や県が確認をしたものと同じ書類で確認をして、賃貸借契約を結んだということでございます。
053 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 ちょっと質問と答えが合っていないんですけれども。
では、ちょっと質問の仕方を変えますと、造成計画を許可しているということは、次は建築計画も許可するという前提になっていると思うんですが、その前提ではないということでしょうか。
054 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 賃貸借契約、実際の建築物をその上に建築して運営をしていくという事業に関しての契約というのは、改めて、先方の申出に応じて契約を締結するかどうかをこちらが判断をするということでございます。
055 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 その際の事業計画の妥当性や健全性というのはしっかりと見ていただきたいというふうに思います。
そして、今の賃貸借契約というのは、成田国際空港法のどのような目的に合致しているのか。いわゆる騒特法と呼ばれる特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法のどの趣旨に合致しているというふうに考えておられるのでしょうか。
056 平岡成哲
発言URLを表示
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
騒特法は、適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的としているわけでございますけれども、その前提といたしまして、成田空港会社は、成田空港会社法第六条において、成田国際空港の周辺の地域の住民等の理解と協力を得ることがその事業の円滑な事業を図る上で不可欠であることに鑑み、その事業の実施に当たり常に成田国際空港の周辺における生活環境の改善に配慮することが求められているところでございます。
これを受けまして、成田空港会社では、過去の様々な経緯を踏まえまして、空港づくりは地域づくりという考え方に基づいて、地域との共生、共栄の理念の下、成田空港周辺の生活環境の改善に資するプロジェクトに協力する立場から、本件土地の貸付けを行ったものと承知しており、適正かつ合理的な土地利用を図るとの騒特法の趣旨にも合致するものと考えております。
057 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 合致しているとのことです。
では、更にお聞きいたしますが、この小菅地区で行われている事業については、不動産特定共同事業法に基づいて、昨年、第一号事業者、第二号事業者とも行政処分がなされたというふうに報道されております。この事実関係を確認いたします。
058 平田研
発言URLを表示
○平田政府参考人 昨年六月に、当該賃借人と資本関係のある不動産特定共同事業者二社について、監督行政庁である東京都と大阪府により、それぞれ不動産特定共同事業法に基づく行政処分を受けたものと承知をしております。
059 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 これは、両社とも、またこれも報道されている事実でありますので、どこの社とどこの社が処分を受けたのかということについてお願いいたします。
060 平田研
発言URLを表示
○平田政府参考人 二つの処分のうち、東京都からの処分については、みんなで大家さん販売株式会社に対して、大阪府からの処分につきましては、都市綜研インベストファンド株式会社に対してなされたものでございます。
061 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 昨年、緒方林太郎衆議院議員が分科会等で質問をされた際に、不特法の趣旨に合致しているかどうかというところを問うた後、参考人の答弁がこのような答弁でした。賃借人による関係法令への違反が明らかになった場合などには、契約上、賃貸借契約を解除し、損害賠償や原状回復の請求を行うことにしているという答弁がありました。
先ほど確認をいたしましたけれども、不動産特定共同事業法に基づいて行政処分がなされました。これで今契約が続行されている理由というのは、どこにあるんでしょうか。
062 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 今御質問の行政処分というのは、賃借人ではなくて、賃借人のグループ会社に対して与えられたものでございます。千葉県及び成田市におきまして法令許可を賃借人に対して与えておりまして、当該行政処分がなされた後に、千葉県及び成田市に当該行政処分が法令許可の取消し事由に当たるかどうかというのを確認をいたしましたところ、その時点で取消し事由に当たらないとの回答を得たことから、契約の解除には至っていないものでございます。
なお、この点に関しましては、当社顧問弁護士にも確認をしているところでございます。
063 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 つまり、賃借人自体でなければ大丈夫なんだ、グループ会社の法令違反であれば、これは契約を続行しても大丈夫だという、なかなかすごい答弁だなというふうに思いますけれども。
では、ほかの質問に行きたいと思います。
先ほどちょっとお聞きしましたが、この契約は、今年三月で造成契約が切れることになります。この契約の更新について、今、成田国際空港株式会社としてはどのように考えているんでしょうか。
064 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 現在、その土地賃貸借契約の期限が近づいておりますことから、その期間変更に係る検討のために必要となる確認をいたしているところでございます。
065 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 この小菅地区の事業については、先ほど、東京都、大阪府、裁判をしていますけれども、もし事業が失敗したときに、出資金の償還が困難になる、元本のほとんど全てを失うという大きな損失を被ることになるであろうことが合理的に推測されるという主張をされております。
このような東京都や大阪府が危惧を抱くような事業に、今、成田国際空港株式会社は土地を貸しているわけですけれども、それは、私は成田国際空港株式会社は大きな責任があるというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。
066 田村明比古
発言URLを表示
○田村参考人 係争中の事案でございますため、裁判における御指摘につきましては発言を差し控えさせていただきますけれども、千葉県及び成田市におきまして、資力信用や技術的要件等各種法令に基づく審査の上、事業に必要な法令許可を賃借人に与えておりまして、それを受けて、当社としても、法令許可申請に使われた事業計画や資金計画を確認の上、貸し付けたものでございます。昨年の賃借人のグループ会社に対してなされた不動産特定共同事業に関する処分につきましては、賃貸借契約締結の際には予見できないものでございました。
このため、今般の土地の貸付けというのは、法令上、契約上の瑕疵はなかったものというふうに考えております。
ということで、それが私どもの考え方でございますが、なお、賃借人の事業に私どもが参画しているわけではございませんので、事業に関する責任を負うものではないというふうに考えております。
067 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 今、こういった様々な、行政処分が出たりとか、係争中である。これは元々、成田国際空港の土地を貸したところからこういったことが出ているわけですけれども。
先にちょっと大臣に受け止めを聞かせていただきたいと思うんですが、大臣、今、私と参考人の皆さんとのやり取りを聞きまして、大臣は株主でございますので、これをどのように受け止めておられるのか、大臣の御所見をお聞かせください。
068 中野洋昌
発言URLを表示
○中野国務大臣 尾辻委員にお答え申し上げます。
当時の経緯等ということでございますが、成田空港、委員も御承知のとおり、建設に当たりまして、過去の様々な歴史的な経緯というのがございます。これを踏まえまして、航空局長からも答弁ありましたとおり、空港づくりは地域づくりだという考え方に基づきまして、やはり地域との共生、共栄というのが非常に大事だ、こういうことでございますので、空港会社において、成田空港の周辺の生活環境の改善に資するプロジェクトに協力をするという立場から、本件土地の貸付けを行ったものであるというふうに承知をしております。
そして、先ほど、成田会社からも土地の貸付けについて様々説明はございましたけれども、本件土地の貸付けに際しましては、都市計画法に基づく開発許可などの必要となる許認可を取得をしていることなどが確認をされている、必要な社内手続も経て貸付けも行われているということで私も承知しておりますので、土地の貸付けに瑕疵があったというふうには考えておりません。
他方で、本件土地の貸付けは、今、造成工事のために行われているということでございますが、委員が御指摘をされたように、この事業のスケジュールには変更が生じている、こういう状況だということも承知をしているところでございます。
こうした状況を踏まえて、成田空港会社におきましては、今後、当該賃貸契約に関しましては、当該賃借人やあるいは開発事業の状況、これは継続的に見定めながら、地元の成田市等とも御相談の上、適切に判断をされるものであるというふうに承知をしておりまして、国土交通省としても、しっかりその状況は注視をしてまいりたいというふうに考えております。
069 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 三月に迫っておりますのでしっかりと、不動産特定共同事業法は国交省がやっておりますから、この辺、しっかり見ていただきたいと思います。
会計検査院に今日来ていただいておりますが、会計検査院として、この成田国際空港株式会社の賃貸借契約、これの妥当性についてしっかりと検査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
070 中川浩
発言URLを表示
○中川会計検査院当局者 お答えいたします。
成田国際空港株式会社の会計経理は会計検査院の検査対象であり、これまで検査を実施してきておりまして、土地の賃貸借契約を含め、今後も適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
071 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 あと、消費者庁にも事実関係だけ聞いておきたいと思います。
今日、不動産特定共同事業について聞いていますけれども、不特法と呼ばれますけれども、これに基づいた相談件数、消費者庁はどれぐらい今把握しているのか、お聞きしたいと思います。
072 尾原知明
発言URLを表示
○尾原政府参考人 お答え申し上げます。
全国の消費生活センター等に寄せられた相談のうち、登録された相談内容に不動産特定共同事業の文言がある相談は、二〇一五年度から二〇二四年度までで六十一件ございます。
073 尾辻かな子
発言URLを表示
○尾辻分科員 不特法で相談が消費者庁に結構来ているということ、これもしっかりと受け止めなければいけないというふうに思います。
今日はるる聞いてまいりましたけれども、大和都市管財事件というのが二十年ほど前にありまして、これは、近畿財務局が安易な免許更新によって投資家の損害を広げたということで、国家賠償請求の訴訟が起こりまして、結局、裁判では、国が賠償責任を負うということになりました。そういった、やはり国には大きな責任がある、こういう事件もありましたので、この事件を紹介をし、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
074 河西宏一
発言URLを表示
○河西主査 これにて尾辻かな子さんの質疑は終了いたしました。
次に、山本大地君。
鑑定コラム2835)「みんなで大家さんの成田土地賃貸借契約 衆議院予算委員会に質疑される」
鑑定コラム2853)「読まれたし 日経不動産マーケット情報2025年5月号のみんなで大家さんの記事」
鑑定コラム2854)「文春砲になるか 週刊文春のみんなで大家さんの記事」
▲
フレーム表示されていない場合はこちらへ
トップページ
前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ