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1896)大リーガーイチローの最後の打席は遊撃ゴロだった

 2019年アメリカ大リーグの公式戦が始まった。

 アメリカンリーグのマリナーズの2019年の幕開けの試合は、日本の東京で開かれることになった。

 2019年3月20日と21日の2日間に、東京ドームでアスレチックと2戦行われることになった。

 大リーグの公式戦が日本で開かれる事は、7年振りと云う。

 そして、今回は、シアトル・マリナーズに属するイチローが、マリナーズの選手の一人として、日本に来るという。

 イチローの姿が見られるのは、これが最後になるかもしれないと思い、数ヶ月前に、1・2戦のチケットを買っていた。

 第1戦の日の午後遅く、東京丸の内にある法律事務所で3人の弁護士と家賃の鑑定書の内容の2度目の検討と打合せを終えた後、水道橋にある東京ドームに向かった。

 東京ドームは満員であった。午後6時半から試合が始まるが、試合に先だって、セレモニーが行われた。

 選手の紹介、日本と米国の国歌斉唱が行われた。米国国歌斉唱はアメリカ軍の軍楽隊の演奏をバックにして行われた。演奏は、恐らく米軍横田基地の空軍軍楽隊でなかろうかと思われる。

 始球式は、かってマリナーズのストッパーとして活躍した佐々木主浩氏がマウンドに立った。佐々木主浩氏は、マリナーズで129セーブマークし、この記録はマリナーズのストッパーの歴代最多である。

 捕手は、マリナーズでマスクを被った城島健司氏であった。

 そして、打者は、アスレチックスOBのリッキー・ヘンダーソン氏であった。

 リッキー・ヘンダーソン氏は、大リーグの盗塁王(1406盗塁)、得点王(2295得点)であり、野球殿堂入りしている人である。

 この3人の姿を見た時には、胸躍った。特にリッキー・ヘンダーソン氏を再び、東京で見ることが出来たことに喜びを感じる。

 イチローは右翼手、打順9番として出場した。

 攻撃、守備でイチローコールの時には、拍手と歓声はドームに響き渡った。

 打撃は2度打席に立ったがふるわなかった。4回で選手交代した。余りの打撃不振であるが、サービス監督は、2戦目もイチローを先発させると明言していることから、翌日の安打を期待して、21日(祝日 春分の日)に再び東京ドームに向かった。

 初日の観戦席は、三塁のマリナーズ側で2階の外野に近い内野席であった。

 投手の投げるボールは小さく、選手の顔もはっきり見えなかった。

 2日目の席は、同じく3塁側の2階席であったが、内野席として本塁と3塁の中間辺りで、かつ2階席の前から3列目という席であった。

 その為、投手の投げるボールもはっきり見え、選手の顔もはっきり見えた。

 周りには、日本人もいるが、米国人が多かった。マリナーズのユニフォームを着ている人ばかりである。マリナーズの唯一の欠番背番号11番エドガー・マリチネスのユニホームを着た人もいた。

 シアトルから応援に駆けつけている人々の集団らしき人々が多いようであった。

 どうも米国人用に発売されている席のチケットを購入した様であった。

 試合中に静かにスコアブックを付けている初老の米国人もいる。スコアブックを付けている人を3人ほど見かけた。

 アメリカのベースボールファンは、スコアブックを付けながらベースボール観戦を楽しむと聞いていたが、前の席に座っている人がスコアブックを付けている姿を見て、そのことを実感した。

 応援の野次も激しい。ネイティブ英語でまくし立てる。何を云っているのかはっきり分からないが、審判の判定に抗議しているようである。激しすぎると横にいる人が、セーブする仕草をして諫める。

 選手が1塁線上、3塁線上に並ぶ、2戦目のスタートメンバーが発表された。

 イチローの名前が右翼9番で発表されると、東京ドームは大歓声に包まれた。

 マリナーズの投手は、昨年まで日本のプロ野球球団の西武ライオンズにいて、今春からマリナーズに入団した菊地雄星である。

 入団1年目のデビューが、日本での初戦の先発である。マリナーズの菊地雄星への期待が如何に大きいかが分かる。

 選手紹介の最後に、「ピッチャー ユウセイ・キクチ」とアナウンスされると、これまた東京ドームは大歓声であった。

 2戦目は国歌斉唱は無かった。

 始球式はあった。投手はアスレチックスOBの藪恵壹氏、捕手は同じくアスレチックスOBの岩村明憲氏であり、打者には、ケン・グリフィー・ジュニア氏だった。

 ケン・グリフィー・ジュニア氏が、始球式の打席に立つとは思ってもいなかった。驚いた。まさかケン・グリフィー・ジュニア氏が、日本に来るとは。

 本塁打王4回、通算本塁打数630本の記録を持つマリナーズOBで、野球殿堂入りしている大打者である。イチローがケン・グリフィー・ジュニア氏に憧れて、マリナーズに入ったとも聞く。

 菊地雄星は、5回のインニングの2アウトまで投げたが、マウンドを降りた。

 イチローは、4回打席に立ったが、バットから快音は聞かれなかった。三塁ファウルフライ、二塁ゴロ、見逃し三振、そして最後はショートゴロだった。

 3回目の打席の打撃を見た時、イチローは、もうこれでおしまいと思ったが、その後も守備についたことから、もう一回打席に立つ可能性があり、そこでホームランを打ってくれないかと淡い気持ちを持った。

 4回目の打席は遊撃ゴロであった。これでイチローの姿は見られないと思った。

 オープン戦を経て、日本のプロ野球球団との親善試合を含めて30に近い打席に立ったが、ヒットは僅か2本、ここまでは20数打数連続無安打である。

 大リーグの公式戦が始まっても、公式戦6打席でゼロ安打である。

 いとも簡単に、一試合に3本も4本もヒットを打ち、大リーグ記録の年間262本の安打、通算安打3089本の大リーグ歴代22位のヒットを打ち続けたイチローが、何故ここまでヒットが打てなくなったのか。

 一本のヒットを打つのが、これほど難しいものか。

 イチローもここで引退かと思った。

 8回のインニングが始まると、背番号51番を付けた選手がライトの守備位置に向かって全速力で走る。

 「あれ! イチローはまだ出るのだ。」

と思った。再び淡い期待が湧いた。

 しばらくすると、守備位置についていたフイールドの野手の選手の動きがおかしい。フイールドのマリナーズの野手達が、皆三塁側ダグアウトに引き揚げている。イチローは、広いフィールドに一人残され、時には小走りに、時には歩きながら観客席に手を振りつつ、ゆっくりと三塁側ダッグアウトに向かう。

 何があったのか。

 選手交代が告げられ、イチローがベンチに下がることになった。

 ゲームは中断した。ベンチ前に戻ったナインは、観客に手を振りフィールドからゆっくり戻って来るイチローを出迎え、次々と別れのハグを行う。そして再び守備位置に戻る。
 
 45歳のイチローのマリナーズ引退の瞬間である。

 大リーグ野球殿堂入りが確実であり、これから伝説の人となるイチローの最後の試合を、東京ドーム球場で見ることが出来た幸せを、私は噛みしめる。

 観客席番号、東京ドーム3塁側2階、3列169番の席は、私の忘れがたい座席となった。

 イチロー最後の試合となったアスレチックス、マリナーズの先発選手名を、下記に記す。

 (シアトル・マリナーズ)

  1番 二塁手  ゴードン   2番 中堅手  ハニガー 3番 一塁手  ブルース   4番 指名打者 エンカーナシオン 5番 左翼手  サンタナ   6番 捕手   ナルバエス 7番 遊撃手  ベッカム 8番 三塁手  ヒーリー 9番 右翼手  イチロー      投手  菊地雄星
 (オークランド・アスレチックス)
  1番 遊撃手  セミエン   2番 三塁手  チャプマン 3番 右翼手  ピスコッティ   4番 指名打者 デービス 5番 左翼手  ピンダー   6番 一塁手  オルソン 7番 二塁手  プロファー 8番 中堅手  ロレアノ 9番 捕手   フェグリー      投手  エストラーダ


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