○鑑定コラム



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40)那須の別荘地

 「那須の別荘地を評価してくれないか。」
と所在地番、土地面積、所有者のみを記した書類を評価依頼者から手渡された。
 「いいですよ」
と引き受けた。
 「場所を示す所在地地図は有りますか」
と聞き返した。
 依頼者は「その紙以外はない」という返事であった。

 イヤな予感がした。

 15年前の案件を思い出したが、登記所で探せばわかるであろうという気持ちで那須の登記所に行った。
 公図申請したところ当該地番の公図は無いと登記官はいう。
 登記簿が有り、所在地番が付けられていることから、それの場所を示す公図は有るのでは無いのかと登記官に再度聞いたが「無い」の返事である。

 さあ弱った。
 対象地がどこにあるかわからない。
 どうしたものか思案に暮れていた。

 枝番が3桁の別荘地であるから地積測量図は有るだろうと思い、それを申請したら地積測量図は有った。
 しかし、それは当該地の部分のみで、その当該地がどこにあるのかさっぱりわからない。
 一筆の親番から1000を超える枝番が分筆されているのである。
 分譲地であるから分譲地全体を示す図面は無いのかと登記官に聞いても、それも無いという。

 何とか対象地の場所を知る方法はないものかと再再度登記官に聞くと、部分的に公図はあるという。

 その親番の別荘地の部分的にあるという公図を片っ端から閲覧申請書を出した。
 谷川は不変であろうから、川の位置から公図をつなぎ合わせ、実測図にかろうじて書いてある複数の隣接地の地番のある公図を捜すことから始めた。

 インターネットで取り寄せた親地番が同じ別荘地の売物件の書類が、カバンの中にあるのを思いだした。

 そのチラシには、別荘地のどこに位置するのか場所が明示してあり、枝番地も書いてあった。

 一枚の売物件のチラシの枝番地と川筋を頼りに公図を何枚もつなぎ、つなぎし、他の地積測量図を重ね、当該地の所在を住宅地図の上にやっと落とすことが出来た。

 随分と登記印紙も使い、時間も使った。

 これから現地へというには、既に夕方遅くなっていて無理であった。
 しかし、今回は対象地はなんとかわかった。

 15年前はひどかった。

 土地登記簿には約1万坪の面積表示がしてあった。
 公図もあり、公図上から場所の推定が出来た。
 公図から白地図に評価地の場所を落とし、現地に行った。

 現地は、別荘分譲地に区画され、他人の名前の看板が立っていた。そしてそれら土地を斜めに分断するごとく、鉄線が張られていた。

 おかしいな、場所が違うのでは無いかと、公図にある公道の位置より距離を推定し、何度も歩測で計り直したが、対象地は斜めに鉄の番線が張られ小口に分譲されている土地の位置になる。

 一泊し、登記所に再度行き、登記官に場所がわからないから教えて欲しいと頼んだところ、公図をのぞき込んだ登記官はあっさりと、  「その場所が現実にあるかどうかわかりません。問題のある土地のようです。」
という。

 今迄に何人かの人が同じ経験をしている土地のようであった。
 登記簿に約1万坪の面積表示があり、公図にもその場所が明示されているのにも係わらず、現実にはその土地が無いという。

 那須別荘地という名で繰り広げられた、かっての原野商法まがいの土地販売の凄まじき宴の痕か。那須の土地のミステリーである。

 激しい販売合戦を繰り広げてきた那須別荘分譲業者も大半姿を消したが、その中でたくましく生き残り、マンションの分譲会社として変身した一つの企業がある。

 シンボルタワー的な超高層マンションに活路を見いだし、マンション業界では無視出来ない存在にある。
 朝駆け夜駆けの凄まじい営業姿勢は、最近まで変わらなかった。

 その会社も、今は一兆円を超えるとてつもない巨額の借金を背負い、4700億円という桁違いの額の債権放棄を銀行は行おうとしている。
 果たしてこの企業は再びしたたかに生きのびるか否か。


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